皮膚から人を元気にしたい
理学療法士の高橋美穂です。
今回は予定していた内容を変更し、
先日、日本小児アレルギー学会が提言した内容を
皮膚の観点から考え、お伝えしたくまとめてみました。
6月16日、日本小児アレルギー学会が、
『アトピー性性皮膚炎などかゆみを伴う湿疹のある乳児には、
医師の管理下で
生後6ヶ月から少量ずつ卵を食べさせると、
卵アレルギーの発症予防につながる』
との提言をしました。
日本アレルギーリハビリテーション協会の
及川代表のブログでもアップされています。
注意事項に関しては代表のブログを確認してください。
上記の文面から、今回考えたいのは
"アトピー性皮膚炎または何らかの皮膚トラブル(皮膚バリア機能が低下した状態)の乳児・小児は経皮的(皮膚から)に食物抗原に感作されると食物アレルギーになりやすい"
ということです。
椛島ら1)によれば、
アトピー性皮膚炎を発症している方は
加齢とともに、食物アレルギー、喘息、花粉症といった
アレルギー疾患に罹患する。
これをアレルギーマーチまたは
アトピーマーチという
とあります。
また野村ら2)によれば、
皮膚バリアの異常に起因する遺伝性疾患
(Netherton症候群(魚鱗癬症候群の一つ)やSAM症候群など)
でも、皮膚以外のアレルギー疾患を合併していく。
近年、疫学的研究結果から
皮膚とその他のアレルギー疾患との密接な関係が示唆されている
としています。
・・・。
これらから考えられるのは、
皮膚トラブルになっていなければ、食物アレルギーや
他のアレルギーを発症するリスクは低下できる
ということでもあります。
食物アレルギーを怖がる前に、
皮膚バリアがしっかり働いているかが最重要
であることが言えます。
特に生後間もなく、
皮膚バリア機能が未発達な状態で
間違ったスキンケアを
していると、皮膚トラブルから
アレルギーへと向かっていきます。
皮膚は・・・
排泄器官であり、
保護・バリア機能の最前線
です。
そしてそれは、生体恒常性として
勝手に働いていてくれています。
皮膚バリアがしっかり働いていれば、
アレルゲンの侵入経路とはなりません。
皮膚バリアがしっかり働かなければ
皮膚からアレルゲンが侵入するのです。
口や鼻からだけではありません!!
・皮膚を洗うもの(ボディーソープ、シャンプー、洗顔フォーム・・・等々)は弱酸性でいいのでしょうか?
http://ameblo.jp/hanaharumiho/entry-12225860857.html
・合成界面活性剤(クレンジング、オイルクレンジング、ポイントリムーバー、乳液・・・等々)は皮膚に使用していいのでしょうか?
・排泄器官である皮膚に「肌の奥の奥まで浸透」させていいのでしょうか?
http://ameblo.jp/hanaharumiho/entry-12230195349.html
・未発達な乳児・小児の皮膚に合成ポリマーなどで保湿し、皮膚表面を覆ってしまっていいのでしょうか?
・乾燥した皮膚をそのままほっておいていいのでしょうか?
http://ameblo.jp/hanaharumiho/entry-12212913784.html
あたかもそれが常識のように、
良さげな広告で謳われている
あらゆるモノや方法について
皮膚生理から考えると疑問に感じることが
多々あります。
皮膚の働き、生理学を考えれば
何を選択するのかは難しいことではありません。
現在、皮膚トラブルやアレルギーを発症している方は
皮膚生理から考えた正しいスキンケアを。
全く皮膚にトラブルのない方も、
アレルギーを予防するという観点で
皮膚に対する毎日のケアを考えてみてください。
そして・・・
既にリーキー(漏れている)状態の腸に
少しずつでも異種タンパクを入れていって
本当にいいのでしょうか・・・?
その子が成長していった先に
免疫システムはしっかり構築されるのでしょうか・・・?
その前に、皮膚トラブルの改善や
皮膚に使うものを見直す必要
があるのではないでしょうか・・・?
問題提起をしてしまいましたが・・・
身体は何をしていて、何をしたいのか。
症状を出現し何を訴えているのか。
身体の声を真摯に受け止めていきたいと改めて思いました。
引用文献
1)椛島 健治ら:J Dermatol Sci,70:3-11,2013
2)野村 尚史ら:J Allergy Clin immunol 138:1548-1555,2016
*ブログ内の写真はネットよりお借りしています。
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日本アレルギーリハビリテーション協会
長野リハビリテーション研究会ACT
ぜひセミナー情報をチェックしてみてください!
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。
高橋美穂