皮膚常在菌と合成界面活性剤

皮膚から人を元気にしたい

 

理学療法士の高橋美穂です。

 

 

今回は前回に引き続き、皮膚常在菌と合成界面活性剤についてです。

 

 

近年、過度な衛生感を煽るようなCM等の影響で、

 

菌=悪いもの

 

だから除菌は大切・・・

 

というようなイメージが多くの方に定着してしまっていますが、

 

本来私たちは長い歴史の中で大変多くの菌と共存してきました。

 

その多くの菌は悪いものどころか、私たちの健康的な生活に欠かせないものが多いのです。

 

もちろん、食べ物も菌の力で美味しくなる発酵食品が有名ですし、

 

体も有用な菌と共に共存しています。

 

私たちの体に住む菌のことを『常在菌』と言い、

 

代表的なお腹の中の常在菌だけでなく、皮膚や口、眼、鼻、気道、と人体と外界が接するあらゆる全ての場所に生息しているのです。

 

 

近年の研究により健康と常在菌の関係が非常に深いことがわかってきています。

 

 

もちろん、体内だけでなく、皮膚の健康もこの皮膚常在菌と密接な関係があるのです・・・。

 

 

 

 

原因は諸説ありますが、近年アトピー性皮膚炎の患者数は年々増加しています。

 

20年前と比較するとなんと5倍に増えていると言われています。

 

そこで皮膚の観点から考えると・・・

 

 

ボディーソープが一般的になったのが、1990年代半ばです。

 

この2つになんらかの因果関係があることは疑いの余地がないことなのではないでしょうか・・・。

 

 

大阪府立公衆衛生研究所は合成界面活性剤に関する報告書の中で

 

 

『合成界面活性剤は洗濯用洗剤、台所用洗剤、柔軟仕上げ剤、頭髪用、皮膚用洗浄剤として家庭の中で大量に使われている化学物質である。

 

 

厚生労働省の「家庭用品に関わる健康被害モニター報告」によると、

 

 

皮膚科の報告件数のうち合成洗剤や洗浄剤による皮膚障害は毎年上位にある。

 

界面活性剤により皮脂膜が脱落して進行性指掌角皮症(KTPP型)が発症する。

 

 

この要因として、界面活性剤の細胞膜機能消失作用や刺激作用により皮膚のバリアが破壊されるため・・・』

 

 

と明確に記載しています。

 

 

余談ですが・・・

 

皆さんも近年、出産後のカンガルーケアや、ベビーマッサージという言葉をよく耳にされると思います。

 

新生児や乳幼児とのスキンシップの重要性から注目されていますが、

 

実はこのカンガルーケアやベビーマッサージの有用性の一つに、

 

赤ちゃんが母親から元気な皮膚常在菌をスキンシップを経由してもらうことにより、

 

免疫力を高める効果があると言われています。

 

まさに親子の絆すら、健康な皮膚から作られているのです。

これほど大切な皮膚常在菌をまだまだ多くの方が正しい知識を持たないままに、

 

合成界面活性剤入りの洗顔料、シャンプー、ボディーソープ等で台無しにしてしまっているのではないでしょうか・・・。

 

 

最近は美肌作りのための『育菌』などという言葉もあるそうですが、

 

それ以前の問題として、わざわざその大切な菌を殺してしまうようなものを使っていたのでは、本末転倒ではないでしょうか・・・。

 

 

 

私たちの身体は生まれ持って生体恒常性という素晴らしい機能が備わっています。

 

 

その働きの邪魔をしなければ

 

皮膚はあらゆる外界からの刺激から身体を守ってくれ、必要な刺激・感覚を正常に取り入れてくれるのではないでしょうか・・・?

 

 

 

 

 

 

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次回からは紫外線と皮膚についてです。

もうこの時期から紫外線は徐々に増えています・・・。

 

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

高橋美穂