皮膚から人を元気にしたい
理学療法士の高橋美穂です
前回は「界面活性」について書かせていただきました。
今回からは合成界面活性剤の特性についてです。
合成界面活性剤の特性には
「洗浄」
「浸透」
「乳化」
「付着」
「発泡・起泡」
「柔軟・平滑」
「帯電防止・防錆」
「殺菌」
と挙げるだけでもまだ足りないぐらいの特性があります。
だから製造側は使い易い(安い)のです・・・。
どのような目的で配合されているかによって、
合成界面活性剤の種類や濃度が変わります。
肌に使うモノから、肌には使わないものまで
幅広く使われているのが合成界面活性剤です。
この特性からどんな用途(使い道)になるのか挙げてみたいと思います。
(*あくまで合成界面活性剤の特性からの用途を述べたもので、同成分というわけではありません。)
『洗浄』・・・油と水を混ぜて捨てる
肌を守っている2つのバリアである皮脂膜と角質が失われ、タンパク質変性作用により壊されます。
➡︎クレンジング、洗顔フォーム、シャンプー、ボディーソープ、食器洗剤
『浸透』・・・繊維や革製品などに染料や仕上げ材を均一に浸透させるのに使用します。
角質をタンパク質変性させ壊し、有効成分とうたうものを染み込ませます。
いわゆる「染み込む染み込む・・・」
皮膚は排泄器官ですが、わざわざ逆行するように浸透させているため新陳代謝は停滞します。
※ここが現代のアレルギー発症の多さに関係している!?今後詳しく書いていきます。
➡︎美容液、化粧水、乳液、クリーム、育毛剤(発毛剤)、美白化粧品
『乳化・分散』・・・安定した乳化液(エマルション)をつくることから、乳化剤として使用されます。
また、ススやカーボンブラックは水の表面に浮かんで混ざり合いませんが、合成界面活性剤を少量加えてかき混ぜると、均一で安定した分散液を作ることができるので、インクやペンキの製造に使われます。
「乳液」は合成界面活性剤のおかげで油と水を安定した状態にさせています。
とろっと・・・でも水みたいにスーッとなじみ、一時的にしっとりしたかのような錯覚を生みます。
➡︎乳液、化粧水、クリーム、美容液、ボディーローション
『付着』・・・植物の葉っぱは水をはじいてしまいますが、表面張力を無くす効果のある合成界面活性剤で溶かした水は水玉にならず、表面に広がります。
この働きを利用して、農薬や除草剤を均一に葉っぱにつけるため、大変多くの合成界面活性剤が使われます。
肌に使えば、よく伸び、夕方まで長持ちするファンデーションに使われます。
➡︎ファンデーション、シャンプー、農薬、除草剤
『発泡・起泡』・・・合成界面活性剤を溶かした水は泡が立ちやすくなります。
これは水の中に気泡を取り込んで、泡立ちをよくする効果があり、発泡剤として泡の消火器等にも使用されます。
泡は私たちに「洗った感」を与えます。しかし実際は・・・
➡︎ボディーソープ、シャンプー、歯磨き粉、消火器剤
戦時中、戦車の洗浄剤として誕生した合成界面活性剤は
1940年代から急速に生活の中へ普及し始めました。
合成界面活性剤のおかげで暮らしが便利になっている反面、
合成界面活性剤による皮膚バリアの破壊が問題となっています。
次回は合成界面活性剤の特性Part2です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
長野リハビリテーション研究会ACT
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高橋美穂